※注意※
中盤あたりに18禁描写があります。ワンクッション置いてるので18歳以上の方はお進みください。中間にあるR18アイコンが入口。
そこまで描写は濃くはないですがやってることが頭悪いです。シリアスになりきれませんでした。基本エロとぐだぐだ。時々ドS。
描写云々以上に多方面に怒られそうな発言があります。苦情はご勘弁頂きたい。他意はない。いやマジで。



「…穴があったら入りたいってこういうことだよね…っ」

窓際で突っ伏す私に、神威の調子はいつもと変わらない。
…まあ、変わるわけもない。こいつはそういう奴だ。

「大袈裟だなぁ、は。あの程度のことで恥にはならないよ」
「なります」
「良いじゃない、減るもんじゃなし」
「減りはしないが増える!
 …私を笑い者にして、それを酒の肴にしてる高杉の顔が想像つく…ああもう腹立つ!」

想像したらムカムカしてきた。
やっぱあいつ殴ろう。絶対殴ろう。いつか殴ろう。そうだ、そうしよう。

「…仲良いのか悪いのかわからないよね、と晋助って」
「悪いです。奴は敵だ」
「あっちはのこと、気に入ってるみたいだけど」
「………玩具として? あいつドSだからね」
「いや、女として」


……
………何言ってんの、この人。

「…………そりゃねーよ」
「あるよ。俺にはわかる」
「いや、無い無い」
は悪意には敏いけど、好意には鈍いよネ」
「はァ?」

悪意に敏い、は認めよう。
好意に対して鈍いというのは、まあ百歩譲って認めたとしてもだ。
…あれが好意だと言われてはいそうですかと受け入れるには、抵抗があるのだが。
嫌だよ、あんな悪意の塊みたいな好意。手刀突きつけられてのプロポーズも嫌だけど。

は性格悪いから一般受けは悪いだろうけど、俺みたいな男にはモテると思うよ」
「あの、それは褒めてないよね? というかそんな物好きあんたくらいだよ…」
「……案外、って馬鹿だネ」
「誰が馬鹿!?」

心底呆れたように言わなくても良かろうに!!
だいたい、馬鹿に馬鹿呼ばわりされる覚えはないわ!!



閑話 ~ File02 夜の兎は月に詠う




とりあえず落ち着いてきたので、私はぼんやりと外を眺めていた。
外と言っても宇宙なので、どこまで行っても変わりもしない、星の海なのだけど。

「…無駄な造り。まあ、気持ちはわかるけど」
「ん? ああ、窓? そうだね、星なんて珍しくもなんともないし」

…で、こいつは布団敷いてあるのに人の膝を枕に使ってるわけなんですが。
……まあ、なんで申し合わせたように既に布団が敷いてあるのか突っ込みたいけどね!
鬼兵隊の皆様は宿屋の女将か。変な気遣いやめてくれ。ホントに。

「まぁ、地球人にとっては、そうでもないけど…。
 ほら、地球から見える星は、随分薄いからさ。街が眠らないからだよねぇ…」
「眠らない街、ね。なんだか嫌に詩的だね、
「んー…そうかなぁ…」

詩的と言うか、なんというか。
感傷的になっているわけでもないんだが、さすがに宇宙のど真ん中にいる今の現状を考えると、妙な気分なのだ。
江戸から見る星はまだ、私の生まれ育った世界に比べれば綺麗だったけど…
普通、一小市民の私が宇宙旅行なぞ出来る時代ではないわけで。人生何があるかわかったもんじゃないね、ホントに…。

――地球が、恋しいの?」
「…また、その話? 何度も言うけど、あんたが心配するような相手は地球にゃいませんよ」
「そうじゃなくてさ」

そこで言葉を切って、神威は起き上がった。
丁度向かい合う格好になって、妙に神威が真面目な顔をしてるから、思わず眼を瞠ってしまった。

――逃げなくて良いの?」
「え、なにそれ。…逃げても良いの?」
「さあ、どうだろ?
 ただ…自分で思ってたよりも、俺は「男」だったみたいだ」
「?」

意図がわからず首を傾げると、対する神威は苦笑する。
何か、妙な空気で私は落ち着かない。なにこれ。

――自制出来ないかもしれないから。
 だから、逃げるなら今が最後の機会かな。今ならまだ、優しい俺でいてあげる」
「…あんたって優しい男でしたっけ?」
にはね」
「…うん、知ってる」

そんなことは、知ってる。
基本的に、こいつに私の価値観上の「一般的な優しさ」などというものはない。
あるのは興味があるかないか。もしくは役に立つか立たないか。
時にそれすらも、道楽によって覆る。どこまでも気分屋だ。
そんな神威が、私に対してだけは感情の振り幅を安定させていることくらい、見ればわかる。
罵倒しようが蹴ろうが殴ろうが、怒りもしない。むしろ、私が相手をすれば楽しそうに笑う。
なんだかんだで、私を尊重する。本気で拒否すれば引く。だけどこんなことの決断まで私に委ねるのは、狡い。

「でもさ、…ここで私が逃げたら、あんたこの先ずっと、私に手ェ出さないでしょ」
「…そうなっちゃうかな、たぶん」
「あんた全然優しくない。そう言うのは優しいって言わない、狡いって言うんだよ」

自分勝手で我が儘で、こっちのことなんかおかまいなし。
そのくせ、妙なところで引く。こっちはその線引きがわからなくてどうしようもない。
対等でいたいとか、そういうことを言うつもりもないし望みもしない。
そこまで馬鹿な女にはなりたくないし、なる気もない。
だって、私は『可愛げのない女』だから。…だから、虚勢を張って声が震えないように、言い放つ。

「女に二言はねぇよ。地球人ナメんな」
「…あのね、

強引に、手を取られた。
覚悟が無いわけではないけど、それでも緊張に震えるのは仕方ない。
気づかれないようにしていたのに、手を取られたら意味がないじゃないか。

「っ!」
「震えてる。…怖いんでしょ?」
「…別に、あんたが怖いわけじゃないんだけど?」
「知ってるよ。俺を怖がるような女なら、半年も傍に置いてない。
 俺を相手にしても怯えないどころか、真っ向から噛みついてくるような女、以外いないしね」
「でしょうね。…あんたは、欲しい物は力づくで自分のモノにするタイプだと思ってたんだけど違うの?」
「そうだよ、元々はね。…言っただろ、に会ってからおかしくなった、って」

私の手を握る神威の手に、僅かに力が籠る。
だけど、それで震えが止まるほど、私の人間としての本能は鋼ではないらしい。
そんな自分が、ひどくもどかしくて腹が立つ。

「自分の我を通すのは簡単だよ。多少力が強くても、は地球人で俺は夜兎だ。ただでさえ、は女。抵抗出来るとは思えない。
 殺さないように手加減したって、押さえ込むのはわけないよ。でも…に嫌われるのは、やっぱ嫌だな」
「……」
「だから、逃げるなら今が最後の機会だよ、って言ってるの。
 …たぶん、触れたらもう――逃がしてあげられない」
「…神威」
「もっと上手くやれると思ってたんだけどね。
 …満足だ、って言いながら、手に入れても全然満足してない。出来ない」

――そう。これだ。
高杉を殺す為に私を置いて部屋出て行ったあの時に、一瞬だけ見せた顔。
どこか、泣きそうな顔。
目の錯覚だと思えばそれまでだけど、これで二度目。

こいつの過去に、何があったのかよくわからないし。
神楽や星海坊主さんの話からじゃ、断片的な情報でしかないし。
こいつが何を失って、何を得ようともがいてるのかなんて、多分こいつ自身もわかってない。

ただ、前提が間違っているとは思う。
もっと上手くやれると思った? 馬鹿言うな。
恋とか愛とか、それに近い執着とか――
そういうもんは、子供だろうが大人だろうが、誰だって上手くなんか出来やしないんだよ。
不様に藻掻いて足掻いて、辛かろうが歯ァ食いしばって踏ん張るのが男女の仲ってもんでしょうが。
…まぁ、こいつはそういうの、理解してないんだろうな。
両極端な思考回路しか持ってないなんて、なんて不器用な奴。

小さく息を吐いて、私は空いてる方の手を伸ばして神威の頭を撫でてやった。
もう、手の震えは止まってる。ほら見ろ、女は土壇場の根性が据わってるだろ。褒めてよ。

「…不器用な奴」
。…甘やかすと、つけ上がるよ」
「今更? あんたは充分、自分勝手じゃない」
「……………そっか」

呟くように神威がそう答えたのと、ほぼ同時だった。
強く肩を引かれたと思ったら、視界が勢いよく反転する。
ゴンッ、と強かに後頭部を打ちつけられ、痛みに思わず顔をしかめた。

「…え。あの、痛いです神威サン」
「うん、だろうね。ごめん、一瞬力加減忘れた」
「はぁ…」

不安になるので、ここで力加減を忘れないで欲しい。
あと、せめて布団の上に連れて行って欲しいです。痛い。

「最後に確認するけど、コレは合意――ってことで良いんだよね?」
「え? あぁ、うん…?」
――わかった」

妙に真剣に聞いてくるから、反射的に頷く。
それを受けて、神威は表情を変えず身を起こした。
そのまま、ひょいっと持ち上げられて、今度は布団の上に降ろされる。

「…ちゃんと忠告は、したよ?」
「は、い…?」
「俺は最初に、「自制出来ないかもしれない」「逃げるなら今が最後の機会だ」って、言ったよね?」
「言った、ね?」
「でも、は逃げなかったよね?」
「う、うん?」
「じゃあ…俺の好きにして良い、ってことだよね」
「は…はァ!?」

今度は疑問形でも確認でもなかった。言い切った。
え。なに。好きに、ってなに。
あれ? そういう話だっけ? もうちょっとこう、実のある話をしてませんでしたっけ?

「してるように思ってたのは、だけだと思うよ?」
「あれ? 今声に出てた?」
「うん」
「あのさ、ここまでの話はなんだったわけ? 盛大な前振り?」
「いや、意思確認? ほら、契約書にサインする前に色々説明受けるだろ? ソレ」
「……………………………………………」


……
………あれ、なんだろ。騙された気分。

「…つまりそれは、私がその契約書にサインした状態だと」
「そうなるね」
「やり直しを要求します」
「却下します」
「なんでだ!!」

雰囲気に呑まれてなんか勝手な契約結ばれちゃってるよ! ナニコレ!!

は口も性格も悪いけど、優しくて案外お人好しだよね。馬鹿とも言うかな。
 俺はが思ってるほどガキじゃないよ? …どっちかって言うと、こういう意味ではの方が子供」
~~~~ッ!!」
「先に謝っておくよ、――ごめんネ?」
「え、笑顔で言うことかァァァァァァァァッ!!」

まったく悪びれもしない笑顔で、おざなりに言われた謝罪の言葉。
早くも私は、自分の行動を後悔した。
真面目に考えてたのが馬鹿みたいじゃないか! 私の優しさを返せ!!


+++





+++


「………」
「あ、起きた。、生きてる?」

死んだようにピクリとも動かなかったが、不意に気怠げに目を開けた。
ゆるりと視線を向けてくる動きは緩慢だけど、目に不機嫌そうな色を浮かべているのは予想通り。

「…痛い」
「うん。どこが?」
「…全身」
「筋肉痛だね。多分」

さて、いつからの意識が飛んでたかは、実は俺にもわからなかったんだけど。
本人は俺以上に状況を認識出来ていないらしく、器用に視線を周囲に彷徨わせた。

「…浴衣? あれ…体も綺麗だ…?」
「そりゃ、ぐちゃぐちゃに汚しちゃったからね。
 あのまま放置しちゃ可哀想だと思って。汚したの俺だし」
「……」

答えると、物言いたげな視線が向けられてきた。
…なに、その反応?

「なに?」
「……いや、意外だなと思って……」
は俺をなんだと思ってるんだよ…」
「後始末させる側」
「………否定はしないけどさぁ」
「だから、意外だって言ったのよ」

そりゃあ、女相手に後始末してあげたのは、生まれて初めてだけど。
そんな、心底意外そうな顔しなくても良いと思う。
いくらが軽くても、意識のない人間ひとり抱えて世話焼くのは結構大変だったのに。

「…良いよ。俺らしくなくても。そうしたかったんだから」
「………」
「なに。まだ文句があるの?」
「……神威が優しいと気持ち悪い……」
「さすがに怒るよ

優しくして気持ち悪がられたのも初めてなんだけど…。
は俺をなんだと思っているんだろうか。
割り切りが良いように見えて全然割り切れない性格のだから、好かれてるはずなんだけど。
…ちょっと自信なくなるな、コレ。

「んー…たぶん夢だ…」
「夢って。もしかして寝ぼけてるの?」

そこまであり得ないわけ? 俺が優しくしてあげるのって…。
よしんば寝ぼけての発言だとしても、これってつまり本音だよね?

「…夢、なら…良いよね…」
「え?」

重たそうに体を起こして、が俺の頬に両手を当てた。
眠そうな目は情事の名残か僅かに潤み、気怠げな所作はどこか艶がある。
今にも崩れそうな彼女の体を反射的に支えると、掠めるように口づけられた。

「……?」
「…おやすみ…」

茫然とする俺に構わず、それだけ言うとはそのまま崩れ落ちた。
遅れて聞こえるのは、規則正しい寝息だ。
…え、なに? いまの…?

何度もキスはしてるし、それ以上のことをしたわけだし。
今更、あんな触れる程度のキスなんてどうってことはない、のだけど。
からされたのは、初めてなんだよね。

「…参ったな…ますます、手放せなくなっちゃったよ…」

気を失うようにが眠ってくれて、こんなに安堵したことはないだろう。
…耳まで赤く染まっているであろう顔を、見られなくて済んだのだから。


+++


「…………………で。何やってんだ、アンタらは」

律儀に迎えに来た阿伏兎さんは、開口一番、呆れたようにそう言った。
…主に、頭から尼さんのように布を被って神威に抱えられている、私に。

「聞くなー! 武士の情けとか無いのかよ、そんなこと聞くなーーっ!」
「嬢ちゃんが一夜で馬鹿になってんだが」
「馬鹿じゃねーーーっ! …いたたっ…」

全身に、いや主に下腹部に鈍痛がはしって、思わず呻く。
暴れたせいで落ちそうになった私を抱え直しながら、神威が苦笑した。

「ハイハイ、暴れないの」
「いやダメだあのオッサンを腹いせに殴らせろ!」
「立つことも出来ないくせに何言ってるの。
 後で好きなだけ殴って良いから、今は大人しくしてなよ。
 それにしても…後の方が痛いんだね。普段使わない筋肉酷使するのかな」
「余計なこと言うなァァァァァッ!!」

…そうです。
酷い疲労と筋肉痛で、私は立つこともままならない状態なので、こうやって抱えられているのです。
頭から布被ってるのはこの状況で顔見られるのが恥ずかしいのと、
…このバカが遠慮も容赦もなく、あちこちに痕付けまくったせいです。
着ていた洋服も、手足が出てるため着物を借りました。借りてばっかだよ。
…そんな状態で堂々としてられるか! ただでさえ公衆の面前で姫抱っことかああもう何この羞恥プレイ!!

「うるさいなァ、は…昨日は可愛かったのに」
「きゃあああああっ!? やめて言わないでお願いだから言わないでぇぇぇぇぇっ!!」
「ははっ、必死だね。可愛い可愛い」
「うるせーです!! …いっ、痛い…」
「ハイハイ、わかったわかった。もうからかわないから大人しくしようね」

そんな微笑ましいもんでも見るように言うな!
ああもう腹立つやら恥ずかしいやら! うぅ…でもまともに動けない…。

「………」
「なに、阿伏兎。その顔」
「…いや、なんか呆れて言葉も出ねーよ。
 俺がアンタの尻拭いに奔走してる間に何やってんだ」
「愛を確かめ合ってたんだよ」
「何を言ってんのあんたはァァァァァァッ!」
、耳元で怒鳴るのやめてうるさいから。
 今は両腕塞がってるから、口塞ぐ為には俺も口しか使えないけど良いの、ここでしても?」
「もがっ」

慌てて自分の口を塞ぐ私に、神威は楽しそうに笑う。
それはもう、悪戯に成功した子供のように。

「そうそう、それで良いよ。は良い子だネ」
~~~~ッ!!」

そんな、子供みたいな顔して言われても…!
私の方が馬鹿みたいじゃない!!

「…もういいよ、好きにしてくれよ…」
「俺はいつでも好き勝手にやってるよ?」
「ソウデスネー」
「………………………あー」
「なに、阿伏兎? ああ、羨ましいの?
 なんだったら牢からお気に入りのメガドライブ出しちゃっても良いよ、提督権限で俺が許すから」
「だから違うつってんだろうが!! そのネタまだ続くの!?」

騒ぐ阿伏兎さんを無視して、神威は何事もなかったように歩き出す。
…完全に遊んでるな、こいつ。阿伏兎さんもご愁傷様です。

「………………満足デスカ、神威サン」
「うん? いや、全然」
「をい…」
「だって俺は欲張りだからさ。
 死ぬまで満足しないんじゃないかな、多分」
「…死んでも満足しそうにないよね」
「そうかもね。理解してくれてて嬉しいよ」

あー、はいはい、そうですね…。
色々な意味を込めてため息を吐き出すけれど、まあ…
こうやって大人しく抱かれてるくらいには、私も現状に大きな不満は無いらしい。
何をどう間違ったら、手刀突きつけてプロポーズしてきた上に、同意も得ず連れ去ったような男とこうなるのか。






……いや、世の中不思議なこともあるもんですね。ホントに。



To be continued?

気に入っていただけたら、ぽちっと押してあげてください。コメントは入れなくてもOKです。