「なんですって? 斬る!?」
そんな沖田の声に重なるように、電柱から引き剥がされた紙がぐしゃりと音を立てた。
沖田の抱えたバケツにそれを捨て、土方は至極当然のように言い放つ。
「ああ、斬る」
「件の白髪の侍ですかィ」
「うちの面子ってのもあるが、あれ以来隊士どもが近藤さんの敵をとるって殺気立ってる」
そう。遡ること数日前。
彼ら真選組の局長,近藤勲が、ある侍と女を取り合い、決闘に負けた。
ただ負けただけならまだしも、かなり汚い手を使われたらしい。
これに近藤を慕う隊士達は殺気立ち、江戸中にビラは貼り付け手当たり次第ガサ入れしているらしい。
…既に大事になっている感はあるが、これ以上は如何に直参の特殊警察部隊とはいえ、さすがにまずいだろう。
「でけー事になる前に、俺で始末する」
「土方さんは二言目には「斬る」で困りまさァ。古来暗殺で大事を成した人はいませんぜ」
「暗殺じゃねぇ。堂々と行って斬ってくる」
あまり差はない。
正面から行こうが背後から行こうが、それに至るまでの思考は同じだ。
「そこまでせんでも、適当に白髪頭の侍見繕って連れ帰りゃ、隊士達も納得しますぜ」
そう言い返してから、沖田は周囲をぐるりと見回し、道歩く男に目を留めた。
「これなんてどーです。ホラ、ちゃんと木刀持ちな」
「ジーさん。その木刀でそいつの頭かち割ってくれ」
その白髪頭の爺は、リヤカーをマイホームと呼ぶ侍である。
この辺り一帯の元締めなのか、よくよく見かけることの多い男だった。
素直に黙ったまま木刀を握る姿は、まぁ確かに、侍らしいと言えるかもしれないが。
「パッと見さえないですが、眼鏡取ったらホラ。武蔵じゃん」
「何その無駄なカッコよさ!!」
ビン底のような眼鏡を外した下から現れた、まるで国士無双を見据えるかのような眼差し。
…まさしく無駄。無駄以外の何者でもない。
よくこんな奴を見つけてきたな、と呆れていいのか感心していいのかわからなくなる土方だった。
とりあえず武蔵(仮)には引き取ってもらって、ふたりは再び歩き出す。
銀髪の侍を探すというのも目的ではあるが、真選組の恥晒しなビラを回収するのも仕事だ。
「マジで殺る気ですかィ? 白髪って情報しかこっちにはないってのに」
「近藤さんを負かすからにはタダ者じゃねェ。見ればすぐわかるさ」
武人にゃ優れた武人は一目でわかるんだよ、と。
言い返してから、ふと思い出したように土方は足を止めた。
「それ言やァ、総悟。お前、山崎に何か頼んだらしいな」
「…チッ、あのおしゃべりヤロー」
一瞬嫌そうな顔をしてから、沖田は表情を引き締める。
「池田屋の一件で、気になることがありやしてね」
「攘夷派絡みか」
「はい。…あの日桂達にくっついてた女が居たの、覚えてますかィ?」
「女?」
言われて、土方はあの日のことを思い出してみた。
どうにも思い出せないが、居たと沖田が言うからには居たのだろう、と結論付ける。
「そのお嬢さんがどうも、先日捜索願の出てた藤原家のお姫さんのようなんでさァ」
「なんだと…?」
その件に関しては、未だ記憶に新しい。
輿入れの決まった娘が行方不明になったと、貴族の親父が駆け込んできた事件。
確かあれは、2ヶ月近く前の話だったか。
その捜索願は二、三週間で取り下げられたため、単なる家出だったのだろうと思っていたが。
「裏は取れたのか」
「山崎の情報によると、間違いないってことですぜ。
貴族とは言え、藤原道三は黒い噂の絶えない御仁でさァ。その娘の噂も色々聞けたみたいで」
美しい娘だから、何かに巻き込まれたんじゃないか――、
そう実の親の贔屓目を差し引いても、写真の娘は確かに綺麗な顔立ちをしていた。
よもやそんな目立つ娘が、攘夷派に関わっているとも思いにくいが、逆にその裏を掻かれている可能性はある。
「貴族の娘が桂と関わっているのか、単なる偶然か…それはまだわかりませんがね」
「…なるほどな。そっちはそっちで気になるところだが…」
「まァ、どっちにしても現段階じゃ手は出せねぇや。住んでる場所もよくわからんらしいですからねェ。
なんでも目撃情報じゃ、チャイナ服のガキと一緒に歩いてただとか、銀髪の男と一緒だったとか…」
「…ん?」
「あれ?」
不意に飛び出してきた単語に、ふたりは同時に顔をしかめた。
そして互いに顔を見合わせ、首を傾げる。
「「銀髪の男…?」」
+++
「おーい、やってるかーい。ダメな大人ー?」
「…お前もうちょいマシな声の掛け方あんだろ」
大工仕事に精を出す、これまた最高にやる気の無い銀さんに声を掛けると、そんな返事が返ってきた。
やる気無いどころか、やや不機嫌。労働が嫌いなんですかこのダメな大人。
「お弁当持ってきてあげたのになんですか?
銀さんがそういう態度なら良いよ、これは万事屋に戻ってみんなで食べるから」
「ごめんなさいさん。銀さんが悪かったです」
素直に謝ったので許してあげよう。
銀さんの反応に満足して、私は持ってきたお弁当を手渡した。
「最初っから素直にそう言ってりゃいーのよ」
「…なぁ、ちゃん? お前最近サドっぷりに磨き掛かってねーか?」
「ん? 気のせいだよ」
「いやいやいや、気のせいじゃないよ、絶対そうだって。
今朝だってお前、慣れた回し蹴りで俺を外に放り出しただろ」
まぁ、そんなこともあったかもしれない。
だけどあれは、折角舞い込んだお仕事に腰の重い銀さんに、はっぱ掛けてあげただけです。
玄関の戸が外れたとか、そんなの些細な結果です。大丈夫、新八に直させたから。
「だって銀さんが、折角来た依頼なのにぐずぐずしてるから。背中を押してあげたのよ?」
「どこがだァァァァッ!! おまっ、あれは蹴り出したって言うんだよ! 文字通りの意味で!!」
「文句言うなよ、弁当持って来てやっただろ」
「謝るって言葉を知らないのかお前は!?」
「銀さんには言われたくないなァ、それ」
自分が99%悪くても、残り1%に全力を掛ける人だから、銀さんは。
「ったく、恩知らずな子だよまったく」
「何お母さんみたいな言い方してんの。それで誤魔化してるつもりですかコノヤロー」
「はいはい、じゃあ私はもう行くからね」
「あ? 何、ホントに弁当届けに来ただけ?」
「最初からそう言ってんだろーが」
「じゃあお前どこ行くわけ?」
「就職活動」
「へ?」
私の返答に、銀さんはきょとんと目を瞬かせた。
そりゃそうだろう。銀さんは未だに私を『貴族の娘』だと思っているし、私も訂正していない。
「生活費。稼がないと食べていけないでしょうが」
「…何、ホントにSM倶楽部で女王様にな」
「そのネタもう良いから」
前回のネタを引っ張るってどういうことだ。
思いっきり、私は手に持っていた水筒で銀さんの頭を張り飛ばした。
「~~~ッ!! 殴るこたァねーだろ凶暴だなホントに!?」
「銀さんが悪い。
…だいたいね、私は顔のイイ男が好きなの、顔が悪いのはキライなの。むしろマゾい男は嫌いなの」
「…お前さぁ。それって差別って言わない?」
「違うー、好みの問題ー! 銀さんだって綺麗な娘さんの方が好きでしょ?
それともなにか、銀さんはナース服着た女ならなんでも良いのか。この変態」
「だからさー! なんでそう俺相手だとサドっ気たっぷりなのかなちゃんはさー!?」
は? 何言っちゃってんの、この人は。
呆れてため息を吐き、私はさらりと言い放った。
「私は大抵誰にでもこんなんだけど?」
「なお悪いわ」
何がだ。失礼な。
…銀さんが失礼なのはいつものことだから、今更良いけれど。
「と、いうわけで。働くならイケメンに囲まれた高時給の職場よ!!」
「…お前仕事ナメてんだろ。これだからお姫様は…」
「刹那的な仕事をやってる銀さんに言われたくありません。
…まァ、私の依頼で結構無茶させてるしね。居候の身としては、礼は返さないと」
「……別に良いけど、そんなん。家事全般請け負ってもらってるし。
そりゃまぁはサドくて理不尽なトコあるけど、…えーーーと…」
何か言葉を捜している銀さんの様子に、ふと思う。
…ここでいつものように、恥ずかしい台詞を言われたらどうしよう。
もうお前は万事屋の一員だろ、とか言われたらどうしよう。
絶対吹き出す自信がある。
「いや、実際万事屋の家計は火の車なんだよ。
バイトを探すのはですね、銀さん。結論的には私のためなのです。感動じゃ腹は膨らまないの」
「…………なぁ、ちゃん。今ね、銀さんはすっごく感動的なこと言おうとしたの。何台無しにしてんの」
「さんを口説きたかったらヴィトンのバッグでも持って来てください」
「もういいお前帰れ」
「あははー、言われなくても帰りますー!」
笑って言い返して、私は「しっかり仕事しろよー!」と言い残して踵を返す。
正直別にブランド物なんて欲しくはないけど、あれですよ。
なんか気恥ずかしくなるんだよ、銀さんたまに恥ずかしいこと言うから。
憎まれ口のひとつやふたつ、寛大な心で許して欲しいね。
「…あ。銀さんにお茶渡すの忘れてた」
なんで手に持った水筒を渡し忘れるかね、ちょっとぼんやりし過ぎだろ私。
元来た道を引き返そうと振り返った瞬間、ガシャンッ!と大きな物音が響いた。
「あっ…危ねーだろーがァ!!」
「だから危ねーっつったろ」
「もっとテンション上げて言えや! わかるか!!」
…こ、このシーンは!!
物陰から覗き込んだ瞬間に目に飛び込んできた光景に、私は思わず目を輝かせた。
近藤さんの事件があった時から、今か今かと待っていたけれど…まさかこんな形で目撃することになろうとは。
こうなりゃ職探しなんて二の次だ。
私はきょろきょろと周囲を見回し、見学に良さそうな場所を探して見る。
この後、話は屋根の上に移る。じゃあ私も屋根に登らなきゃダメか?
…よし、登ろう。
「よーいしょっと」
「あれ? あんた万事屋の。女の子がこんなとこ登って来ちゃ危ねーよ」
「あー、ハ…じゃなかったおやっさん。さっきぶりですー」
「今ハゲって言おうとした? ハゲって言おうとしただろ嬢ちゃん」
「気のせいです。ああ、私のことは気にしないでください。銀さんの見張りに来ただけですんで」
笑顔で言い返せば、「そうかい、しっかり見張っててやってくれ」とだけ言って、
集英建設の親父さんは作業に戻っていった。…そんなんで良いんですか。
で、良い見学場所をゲットした私は、わくわくしながら視線を戻した。
…そしたら、刀二本を携えた土方さんが、屋根をよじ登ってるところでした。
……………なんていうか、あの人たまに可愛いような気がします。
+++
「爆弾処理の次は屋根の修理か?
節操のねェ野郎だ。一体何がしてーんだ、てめェは」
わざわざ刀を二本携えて屋根の上に登ってきた土方に、銀時は軽く首を傾げた。
が、彼の言う『爆弾』という言葉から、数週間前のテロ事件を思い出す。
「爆弾!? あ…お前、あん時の」
「やっと思い出したか。…あれ以来、どうにもお前のことがひっかかってた。
あんな無茶する奴ァ、真選組にもいないんでね」
ザッ…と、足音を立て、土方はゆっくりと瓦屋根を登る。
それをなんとなしに眺めながら、銀時は相変わらずやる気の無い表情を崩さない。
「近藤さんを負かす奴がいるなんざ信じられなかったが、てめーならありねない話でもねェ」
「近藤さん?」
「女取り合った仲なんだろ」
そう言いながら、土方は片手に持っていた刀を銀時の方へ放り投げた。
それを受け取り、ますます銀時は訝しげな表情になる。
「?」
「そんなにイイ女なのか。俺にも紹介してくれよ」
「お前、あのゴリラの知り合いかよ。…にしても何の真似だ、こりゃ…――!!」
気怠るげに聞き返した瞬間、その気配に、銀時は咄嗟に刀を構えた。
「ぬをっ!!」
重い一撃に、足場の悪さと不意打ちが重なり、銀時は屋根を上を吹っ飛ばされた。
「あだっ!! あだっ!! あだっ!!」
瓦屋根の上を転がりながら、ようやく体勢を立て直し、銀時は土方を睨め上げる。
――伊達や酔狂で真剣を振り回してる輩ではない。かなりの手練だ。
「何しやがんだ、てめェ」
「――ゴリラだろーがなァ、俺達にとっちゃ大事な大将なんだよ」
抜き身の白刃を携えながら、ゆっくりと土方は銀時の方へ歩を進める。
「こいつ一本で一緒に真選組をつくりあげてきた、俺の戦友なんだよ。
…誰にも俺達の真選組は汚させねェ。その道を遮るものがあるならば、こいつで…」
スッと、刀が上がる。
銀時が身構えた瞬間、その刀は振り下ろされた。
「叩き斬るのみよォォ!!」
瓦屋根を粉々に破壊する、一撃。
それを避けた銀時は、巻き起こった土埃を目くらましに使って、思いっきり背後から飛び出した。
「刃物プラプラ振り回すんじゃねェェ!!」
蹴り飛ばされた土方が屋根の上を転がる。
だがその一瞬に、土方は刀を振り上げた。
「!!」
白刃が肩を切り裂き、鮮血が舞う。
修理途中の屋根の上を、ふたりは別方向に転がった。
「なんだ? オイ。銀さーん、てめっ、遊んでたらギャラ払わねーぞ!」
遠くから聞こえた、集英建設の親父の声に、銀時は傷口を抑えながら怒鳴り返す。
「うるせェハゲェェェ!! 警察呼べ、警察!!」
「俺が警察だよ」
刀を支えに起き上がった土方がそう告げると、銀時は嫌そうな表情をする。
そして、肩を押さえながら立ち上がった。
「あ…そうだった。…世も末だな、オイ」
「ククク、そーだな」
そう返しながらも、土方は困惑していた。
――動きは良い。飄々としているようで、隙も無い。
この腕前なら、小細工など必要なく良い戦いぶりを発揮するだろう。
証拠に、刀を抜くこともなく、傷も浅い。
話に聞いていたのとは違う。まったくもって食えない男だった。
もう一度肩を傷を見てから、仕方なさそうに銀時はため息を吐く。
そして、遂に刀を鞘から抜き放った。
「うらァァァァァ!!」
構える銀時に、土方は踏み込んだ。
布地を裂く確かな感触に、斬ったという確信が生まれる。
随分呆気ないような気がした瞬間、目の前を舞う手ぬぐい。そして、真横に銀色が現れた。
「!!」
動けない、と。
斬られるだろう、と一部だけ冷静な頭が判断を下した。
――が、それに反して、響いたのは刃の転がる音。
叩き折られた刀の先が、無造作に瓦屋根の上に転がった。
「…はァい、終了ォ」
何故、斬らなかった――と。
驚愕に目を瞠る土方に背を向け、銀時は握っていた刀を投げ捨てた。
「いだだ…おいハゲェェ!! 俺ちょっと病院行って来るわ!!」
「待てェ!!」
呼び止める声に、銀時は振り返らず足だけを止める。
「…てめェ。情けでもかけたつもりか」
「情けだァ? そんなもん、お前にかけるくらいならご飯にかけるわ」
肩の傷は、そう深いものではない。
だが、そこから滴る血が銀時の手を汚し、じわりと着物に染み込んでいく。
「喧嘩ってのはよォ、何かを護るためにやるもんだろうが。お前が真選組を護ろうとしたようによ」
「…護るって。お前は何を護ったってんだ?」
「――俺のルールだ」
振り向きざまに言われた、言葉。
笑みすら浮かべて吐き出されたそれに、土方は言葉を失った。
「じゃーな」
立ち尽くす土方を残し、銀時はその場を後にする。
その背を見送り、土方は苦笑を浮かべ、瓦屋根の上に転がった。
「…ワリぃ、近藤さん。俺も負けちまったよ」
.
.
.
「…フフ。面白ェ人だ」
眼下の戦いを一部始終見学していた沖田は、小さく笑った。
剣の道を歩む者として、なかなかに興味深い一戦だったと言える。
「俺も一戦交えたくなりましたぜ」
「やめとけ。お前でもキツいぞ、総悟」
いつの間にそこにいたのだろうか。
どこか面白そうな口調で言った近藤を、沖田は見上げる。
「アイツは目の前で刃を合わせていても、全然別のところで勝手に戦ってるよーな男なんだよ。
勝ちも負けも、浄も不浄も越えたところでな」
近藤にそこまで言わせる男。そしてたった今、土方に勝った男。
興味が沸いてくるのは、至極当然のことだった。
もう一度視線を戻した沖田は、ふと視界の端に映ったものに目を留める。
「…ん? ありゃあ…」
「どうした、総悟?」
不意に黙り込んだ沖田に、近藤は訝しげに声を掛ける。
だが、聞いているのかいないのか。彼はそのまま立ち上がった。
「…なーるほど。やっぱり単なる偶然じゃあ無さそうだ」
そうつぶやいた沖田の視線の先。
彼らが立つ屋根とは、対角線上にある家屋屋根の上に、一人の若い娘がいた。
+++
「うわー…派手にやってんなァ」
破壊された瓦とか、大丈夫だろうか。万事屋に請求が来なきゃ良いけど。
「これは、銀さん回収して帰らないとマズイかな」
「――どちらへお帰りでィ、お嬢さん」
「え?」
振り返った瞬間、視界に飛び込んできたのは、抜き身の刃。
そして、それを握る――その顔にまだ幼さを残す、青年。
「――ッ! 沖田、総悟…!?」
「俺も有名になったもんですねィ」
笑いもせずに首を傾げて、そう返してきた男。
間違いなく、真選組一番隊隊長,沖田総悟その人だ。
「先日はどうも。こんなに早く再会出来るたァ、思いやせんでした」
「…私もだよ…」
走って逃げるのは、…まぁ、まず無理だな。屋根の上だし。
何もやましいところはないから、逃げなくても良いはずではあるけれど。
…だけどいきなりこの扱いだ。こいつが何考えてるか、よくわからない。
「無粋な誘いで申しわけないんですがねェ…ちょいと付き合っちゃくれませんかね?」
「本当に無粋だねぇ…私、一目惚れとか信じないタイプだよ?」
「ああ、そんな感じはしやすね。じゃあまずはお互いのことをよく知ろうってことで、」
スッと刀を引くと、彼は私の腕を掴んだ。
一見華奢な体躯に似合わない、強い力で。
そして口角を持ち上げて嗤いながら、口を開く。
「――真選組屯所までご同行願いますぜ、『蝶子姫』」
世の中ってのは上手く出来てる。一部の人間にだけ。
To be continued?
気に入っていただけたら、ぽちっと押してあげてください。コメントは入れなくてもOKです。