――2005年。11月。
東京都立呪術高等専門学校。一年生教室。
「転入生ぃ?」
夜蛾から聞かされた時期外れの転入生の話に、三人は三者三様に首を傾げていた。
「こんな中途半端な時期に?」
「ワケ有りですか」
大抵、高校から呪術高専へ入学する者が殆どだ。それは家系組もスカウト組も変わらない。
後天的に呪術師となる者も居るが、ごく稀なパターンだ。そのパターンは総じて『ワケ有り』である。
「呪霊を祓っているところに偶然居合わせてな。入学に際して少し調べたら加茂家の血縁だった」
「御三家じゃないですか」
御三家の一つ、加茂家。古式ゆかしき陰陽術の血統を受け継ぐ、最も血を重んじる家系である。
「加茂家に俺らとタメの娘がいるなんて聞いたことないけど」
「宗家ではなく傍流の出だそうだ。宗家も彼女が術師であることは把握していない」
「そんなことある? 血統と才能大好きの御三家が?」
その才能が高いにしろ低いにしろ、片鱗が見えた時点で把握しているはずだろう。となると、呪力はそれなりにあるが術式を持たない、ということだろうか。
「…まあでも、術式持ってなくても低級くらい祓えるし、あり得なくは無いのか」
「彼女は術式持ちだ。割と珍しいタイプのな。祓っていたのも二級。その際に術式は使っていなかった」
術式持ちでありながら、二級呪霊を、術式無しで祓った。
想定外の言葉に、三人は思わず顔を見合わせた。
「マジで?」
「それは世間一般的には『天才』って呼ばれるタイプじゃないですか?」
「まあ、そう言えるだろう。二級呪霊をビンタで祓う素人術師は初めて遭遇したしな…」
「「「ビンタ」」」
女子高生が呪霊を思いっきりビンタする光景を想像して、三人はほぼ同時に吹き出した。
呪霊の見た目は端的に言えば『化け物』だ。素人の、それも少女がそれをやるのは、相当イカれている。
「ナニソレ、相当イカれてるじゃん。ウケる。俺より強い?」
「オマエら規格外と一緒にするんじゃない。一般的な術師としての『天才』だ」
「なーんだ」
「五条みたいなのがゴロゴロ居るわけないじゃん。…呪力操作が桁違いに上手いのかな、確かに『天才』かもね」
呪力操作こそが術師の基本。それを誰に教えられるでもなく、自力で身につけて尚且つ実戦までこなしているというのなら、確かに天賦の才といえる。
「どっちにしろそれなりに強い、ってことだろ? その上、術式も風変わり。こんな学期の終わりにそんな奴が見つかるとはね。キョーミ湧いて来たわ」
「同期生はオモチャじゃないよ」
「俺をなんだと思ってんだよ」
心外そうに言うが、多々前科がある。
掘り下げるのを避けるように、小さく咳払いをしてから夜蛾は硝子の方へ視線を向ける。
「硝子。同じ女子同士だ、色々面倒を見てやって欲しい」
「はーい」
「先生。私と硝子は明日の朝、任務で空けますが」
「あ」
思わず、夜蛾は五条に視線を向ける。
…つまり、間に入る人間が居ない状態で、転入生と五条が顔を合わせることになる、というわけで――
「じゃあ噂の転入生に最初に会えるのは俺だけか」
「最悪じゃん。転入生かわいそう」
「どういう意味?」
「転入生に喧嘩売るなよ、悟」
「だから俺のことなんだと思ってんだよオマエら。無駄に喧嘩吹っかけたりしねーよ」
そうかなぁ、と夏油と硝子は疑いの目で見やる。
…事実、この後五条と噂の転入生の間で一悶着起こるわけなのだが。
+++
東京都立呪術高等専門学校――通称高専は、呪術師を育てる教育機関である。
充実した訓練環境を持つ呪術師の家系…特に御三家の人間が通うことは滅多にない、とされている。
――そう聞いていたのに、これはどういうことなのか。
転入初日。登校したところ教室で待つように言われ、誰もいない教室でぼんやりしていたは、目の前に現れた相手に驚いて思わず目を瞬かせた。
「オマエ、加茂の傍流なんだって?」
そいつは不躾にも、そんな軽い調子でひとの地雷を踏み抜いてきた。
色素の薄い髪と瞳の、やたら綺麗な顔立ちだがどこか得体のしれない雰囲気の少年。
加茂家傍流とはいえ呪術師の家とは呼べないような家に生まれたですら、彼が誰であるのかすぐに判別できた。
「なんか変わった術式持ってるって聞いたけど。加茂の血筋なら陰陽術? さすがに相伝じゃないだろ」
「……そっちに比べたら大したもんじゃねーよ、五条クン。それより、まずは話しかけてきた側から自己紹介だろ普通」
「……」
「……」
淡々と言い返すに、五条は一瞬固まって、かくんと首を傾げた。
「オマエさ、一応御三家の血縁だろ。俺のこと知らないとかある? 今更、自己紹介必要?」
「知ってるよ、有名人じゃん。けど、初対面だしまずは挨拶だろ。常識知らねェのか。
あといきなりオマエ呼ばわりするんじゃねーよ、サンと呼べ」
「なにコイツ。仲良くする気ゼロじゃん」
「お互い様だろ」
「……」
「……」
数秒、無言で睨み合う。
が折れる気がないことを察したのか、少し考えてから、五条は鷹揚に頷いた。
「…よし、わかった。
ハジメマシテ。俺は五条悟、15歳。五条家出身。六眼持ち。術式は無下限呪術です!…で? そっちは?」
思ったより素直だった。
面倒臭がって離れていくことを期待していたは、予想外の反応に面食らって沈黙する。
おちょくられているのはわかっているが、が提示した『自己紹介』をこなされてしまった以上、黙っているわけにもいかない。
ゆるりと視線を彷徨わせてから、舌打ちをしては視線を五条に戻した。
「…、16歳。加茂家傍流の家出身。術式は四獣纏衣。…これで満足?」
「しじゅうてんい。どんなの? 見たい」
「なんでだよ…小学生か…」
…術式は、見せ合って楽しむオモチャでは無い。
好奇心に満ち溢れた視線を受けて、よっぽど逃げようかと考えたが出入口は五条の背後である。
「………」
「逃げることないだろ」
「…なんでわかるんだよ…」
諦めたように深くため息を吐き出して、は唸るように質問を投げた。
「…いま、何時」
「え? えーと…10時…23分?」
「ふむ」
こうなれば、論より証拠である。
椅子を引いて立ち上がり、は人差し指と中指を立てて眼前に構えた。
「…急々如律令(コンバート)」
――時間にして瞬きの如く一瞬。
唱えた文言に呼応して、の両足を金属が侵食するように覆い始める。
「――顕現、《白虎》」
それは、彼女の膝から下を完全に覆っていた。
不格好な金属の塊などではなく、まるで金属で作られたブーツのように。
「これでいい? 別に面白くもねェだろ、こんなの」
「へぇ。脚鎧みたいに無駄のない形だな…呪力を武装に転換する術式…いや、ちょっと違うか」
「……」
あくまで術式を視ているだけなのはも理解しているが、同じ歳の男にまじまじと脚を凝視されるのは一応年頃の少女なので気分が悪い。
ついにはしゃがみ込んで至近距離で観察し始めたので、は反射的に脚を振り上げた。
「いって!?」
「…女の脚を凝視するな。不躾が過ぎる」
「呪力纏ってる足で蹴るか普通!? 常識無いのはどっち!?」
「どうせ届かねェんだろ、ほんと非常識」
普通、痛いでは済まない。
五条家相伝の無下限呪術は、ものすごく簡単に言うと防御特化の術式だ。呪力によるダメージは乗らなかっただろう。
「…呪力に金属性を付与して、武具に見立てた状態に持っていって体に纏ってる感じ? あーでもこれ実際に武具形状してるわけじゃないのか、視界ジャックして見せかけてんの? 俺の目でも一瞬騙されるとか怖っ。
時間を気にしていたのと、《白虎》って名称から考えるに…時計を東西南北に見立てて、時間帯で属性変えてるってところ? 二重の縛りか」
「まあ、概ね、そうだけど…ひとの術式なんだと思ってんだよ…」
「限定とはいえ完全同一の術式で複数の効果を発動させるのは、確かに結構珍しいタイプだ。あとなにより発動スピードがめちゃくちゃ速い。なんか呪力の流れ変だな、その辺りに秘密があんの?」
「…随分、良い眼を持ってんな」
「良いでしょ」
「腹立つ」
五条の持つ六眼ならば、仕組みを読み解くのは容易だろう。そもそも、の術式は、条件が珍しいだけで実態はそんなに複雑なものではない。
ないのだが、瞬時に読み解かれるのも癪に触る。
「…知ってる? あんたみたいに何でもかんでも暴き立てないと気が済まない奴を『知的強姦者』って言うらしいよ」
「いちいち言葉が強いな。
その顔に似合わない口の悪さって加茂家への反抗心か何か?」
「…ンな可愛いモンじゃねェよ。何百年も非術師しか生まれなかった血族の端っこにぶら下がってる程度の家から、妙な術師が生まれたんだ。しかも宗家がそれを把握してない状態。察しろ」
「おっけー、把握した。喧嘩強い上にガラの悪い女をわざわざイジメに来る奴はそう居ないってことね」
術式を解いて座り直すに合わせるように、五条は椅子を引っ張って来て彼女の前に陣取った。
距離が近い。思わず顔を顰めるに構わず、彼は目を眇めて少しばかり歪に笑う。
「はさ、御三家嫌いだろ」
「嫌い。…いきなり名前呼び捨てかよ、馴れ馴れしいな」
「奇遇だな、俺も嫌い。今日からクラスメイトなんだし仲良くやろうよ、というわけでって呼ぶわ。俺のことも好きに呼んで」
自由過ぎる。人の都合なんて気にもしていない。
お前の家も御三家だろうがよ、という言葉はさすがに飲み込んだ。にも一応、その程度の気遣いくらいはある。
「…ところで、一年って他にいないの」
「いるよ、あとふたり。いま任務で外してるけど、もうすぐ帰ってくると思う」
「先生はいつ来るの」
「さあ? 忘れてるんじゃない?」
「…いつまであんたとふたりきりなの。そろそろしんどい」
「…そんなに嫌そうに言う? 可愛くねーな」
極力御三家の連中とは関わらずに居たいにとって、同期に五条悟がいるのは予想していなかった。
なんでこいつ、高専通ってるんだ…と頭を抱えるを眺めていた五条が、不意に立ち上がる。
「……」
「なに…」
「オマエ、さぁ」
掛けていたサングラスを外して、ズイッと顔を近づけて来る。
反射的に後ろに下がり掛けたの腕を、五条は視線を動かさないまま掴んだ。
「やっぱり呪力の流し方が変だ。それに、なんで呪力放出したままで平気な顔していられるんだ?」
「…ッ、」
鼻先が触れ合うほどの至近距離に詰め寄られたは、反射的に手を振り上げていた。
「ただいまー」
「あれ。夜蛾先生はまだ、」
任務から戻った夏油と硝子が教室の扉を開けるのと、が思いっきり五条の頬を張り飛ばしたのは、ほぼ同時だった。
+++
それぞれ自己紹介を終えた教室で顔を突き合わせて、四人は世間話に花を咲かせていた。
内容は、一般的な高校生のそれからはかけ離れていたが。
「なるほど、家。噂話程度だが、話には聞いたことがある。加茂の傍流の中で唯一、特殊な役割を担うために残された家だったかな」
「…夏油って非術師の家系なんだよな? なんで詳しいの。それ、加茂の分家でも知らない奴ザラに居るよ」
「情報は大きな武器だからね。あるに越したことはない」
そんな理由で手に入れられる情報だろうか。仮にも御三家の内情なのだが。
「特殊な役割ってなに?」
「あー…なんか、加茂の初代だか二代目だかの時期に、厄介な呪霊に呪われて。術式と引き換えに呪いを抑える人柱?になった当主の弟の子孫って聞いた。うちがある限り加茂家に呪いの被害はいかない。そういう家」
「でもは術式持った呪術師じゃん」
「不思議だな」
呪われた血に生まれた、本来生まれるはずのなかった術師。
とはいえ、生まれてしまったものは仕方ない。どうしようも無い。隠しておくにも、力が大きくなり過ぎた。
なので、は開き直ることにした。そして偶然ではあったが夜蛾にスカウトされ、今に至る。
「物凄くどうでもよさそう」
「実際、どうでも良いしね。私の術式は加茂家相伝じゃないし、同じ術式を持った術師も記録上見つからないみたいだし。どう頑張ってもわからないことを考えるのは心の贅肉」
「心の贅肉って何」
「まあ、一理ある。そういうものだ、と受け入れた方が健全だな」
「だろ? 夏油はわかってるなぁ」
「ははは」
談笑すると夏油を横目に、五条は少しばかり面白くなさそうに顔を顰める。
「……傑と俺とで態度違わない? なにあれ。俺、何かした?」
「したでしょ。鏡見ろ」
赤く跡のつく五条の頬を、横にいた硝子が突いた。
「普通、初対面の女の子の脚を至近距離で凝視したり、ゼロ距離まで詰め寄ったりする? そりゃビンタくらいされるよ。寧ろビンタで済んで良かったじゃん」
「呪霊祓うようなビンタだぞ、痛ェよ。だいたいその表現じゃ俺が変態みたいだろ」
「みたいじゃなくて、そう受け取られたんでしょ。オマエはバカなの?」
「別に女にキョーミねぇよ。俺が興味あったのはの体の方」
「悟。表現が最悪だ、余計に悪化してるよ」
わざなのか、と疑いたくなる言葉のチョイスだった。
「………」
「なんだよ、その生ゴミでも見るような目」
「今のは悟が悪い。…悪いね、。コイツはこういうところがあるから、いちいち気にしない方が良いよ」
「オマエは俺の保護者かよ、傑」
「……仲が良いことで」
気を削がれて、は深く息を吐く。
いちいち反応する必要がないのは、もわかっている。わかっているが、理性と感情はまた別だ。
「常時呪力を放出している特異体質、か。それは、体はなんともないのか?」
「正確には、体の表層を呪力が循環してる特異体質な。しかもコイツ、周囲の呪力を吸収してるんだよ。だからよっぽどの大技ぶっ放さない限りは、呪力切れで倒れることはねぇだろ」
「なんで五条が答えるんだ」
「吸収…」
他者の呪力を吸収して自分の呪力を回復させる。術式ならまだしも、それが体質となればコストは0。そんな例は今まで聞いたことがない。
「なにそれどうなってるの? 相手に触れてなくても吸収出来るもんなの? わけわかんない、解剖したーい」
「え」
「硝子。冗談に聞こえないからやめるんだ」
身を乗り出してきた硝子の襟を掴んで、夏油は元の位置に引き戻す。
本当に保護者か何かのようだ。の中で彼のポジョンが確定した瞬間だった。
「のその体質って、天与呪縛か?」
「違うと思う。何も持っていかれてないし」
「じゃあ単純な特異体質か…俺の眼と同じかな。呪われた血の業かね。いったい何に呪われてるんだか」
この距離の詰め方は無自覚なんだろうな、と。
また距離を詰めてきた五条の顔面を、は間髪入れずに平手で打ち返した。バチンッ、と意外と小気味良い音が響く。
「だからいちいち近ェんだよ。ほんとやめて」
「いっ…てぇな! なんでいちいち攻撃してくるんだよ」
「お前が無駄に距離詰めてくるからだよ。
ねぇ、ちょっと、なんなのこいつ。距離感バグり過ぎでしょ」
どういう育ち方したらこうなるんだよ、と視線で訴えるが、受け取った夏油と硝子は他人事のように笑うだけだった。
「女の子に触りたいだけじゃない? 高専に女子って少ないしねー」
「さすがにセクハラは良くないな…」
「ちげーよバカ、知的好奇心ってやつだよ。こんな凶暴な女相手に何をどうしろって?」
「凶暴で悪かったな」
「も過剰に反応すると延々オモチャにされるよ~。あ、って呼んで良い?」
「良いよ。私も硝子で良い?」
「おっけ~」
「待て。俺の時は馴れ馴れしいとか吐き捨てておいて、硝子は二つ返事でOKかよ」
あれ、ちゃんと聞いてたのか。
しかし人の都合を考えない相手を気遣う理由は、にはない。不満そうな五条の言葉を鼻で笑う。
「了承取らなかったじゃん。同じ扱いをしてもらえると思うなよ」
「なんだコイツ、偉そうだな」
「お前に言われたくねェんだよ」
「あ?」
「ふたりともやめろ、不毛だから」
「仲悪いねー。いや、一周回って仲良いのかな?」
睨み合うふたりを、残るふたりがそれぞれ後ろに引っ張って離れさせる。
そんなことをやっていると、教室のドアが開いた。
「遅くなって悪かったな。…なんだ、もう仲悪くなったのか」
「夜蛾先生」
教室を見回し、四人の様子を見て瞬時に何が起こっているのか把握した夜蛾は、呆れたように目を細めた。
「先生遅いですよー」
「教師が遅刻ってどうなんですかー」
「どこかの問題児がやらかした後始末をしていた。………先程、無申告で術式を使用しただろう。誰だ」
「「………」」
と五条が、一切の動きを止めて固まった。
ふたりとも不自然に視線を彷徨わせ、しかし誤魔化しきれないことを察したのか、五条はスッとを指さす。
「サンです」
「お前が見せろって言ったんだろ!?」
「…そうか…まあ、そんなことだろうとは思っていたが」
予想通りの事態が起こっていたことを確信した夜蛾は、長いため息を吐き出し、頭痛を抑えるように片手で額を押さえる。
「。改めて言うが、高専結界内では申告無しで術式を使用しないように」
「はい…」
「悟。オマエはいちいち相手を煽って術式を使わせるな。何回目だ」
「はーーーい」
一応返事は返すが、まったく反省の色は見えない。
こいつ、これがデフォルトなんだな…と、は顔を引き攣らせた。
コレが同級生に在籍していて、何事もなく自分は卒業できるだろうか。そんな一抹の不安が過る。
頭痛を覚えて瞑目した瞬間、コツンと頭に何かが当たった。ポトリと頭の上から机の上に落ちたのは、消しゴムだ。
「……」
ちらりと視線を向けると、案の定、五条がニヤニヤ笑いながらを眺めている。
小学生のような挑発に、は視線を逸らして長いため息を吐き出した。普通なら、ここでバカバカしい、と呟いて終わりだろう。
だが、ここで終わらせるのは癪に障ると瞬時に判断したは、腕に流す呪力量を調節して、握り込んだ消しゴムを豪速で投げ返す。
当然、まさか投げ返してくるとは思ってもいなかった五条に、消しゴムは的中した。
「――さて。各々すでに自己紹介も済んだようだから紹介は省こう。今日からこの四人が当校の一年生となる。互いに切磋琢磨し、未来の呪術界を担う、……コラ、聞きなさい。小学生のような喧嘩をするな」
消しゴムを投げ合って静かに喧嘩していると五条、それを見て肩を震わせて笑いながら突っ伏している夏油と硝子。
ここは小学校だっただろうか、いや一応コイツらは高校生のはずだ、と自問自答しながら、半ば諦めたように夜蛾は話を締めくくる。
「…とにかく。仲良くやるように」
「「「「はーーーーい」」」」
「返事を伸ばすな」
返されたのは、無駄に揃った元気な返事。
まったく信用の置けない息の合い具合に、夜蛾はほんのり胃痛を感じるのだった。
To be continued?
気に入っていただけたら、ぽちっと押してあげてください。コメントは入れなくてもOKです。