! 起きて下さい、汽車が出ますよ!」

大きく揺さぶると、は緩慢な動きで目を開けた。
よく寝るひとだ。…どうやら、通常の寄生型とは身体の作りが違うらしい。

「…おはよ、アレン…」
「おはよう、じゃないですよ。ほら、行きましょう!」

無理矢理引っ張って立たせると、おぼつかない足取りでついて来る。
…子供か、このひとは。

「お急ぎ下さい、ウォーカー殿、殿!」

促されて、僕は小さく頷く。
は…聞いてるかどうか、ちょっと怪しい。

なんとか汽車に乗り込むと、また上級車両の一室が用意されていた。

今回は神田もいないし、トマは相変わらず外にいるんだから、向かい合って座れば良いのに。
…何故か、は僕の隣に陣取っている。

「…、あの」

声を掛けた瞬間、肩に重みが掛かった。
驚いて視線を向けると、は僕の肩に寄りかかって寝ている。

「…?」
「…神田より高さがちょうど良いー…」

半分寝言のようなその言葉に、思わず顔が引きつる。
……それって僕がチビだってことですかね、ちょっと。

「……重いですよ」
「良いじゃん、減るもんじゃなし」
「あんたが言わないでくださいよ」
「ケチケチすんなよ、肩のひとつやふたつ」
「だからあんたが言うことじゃないでしょうが。
 せめて膝にしてください、肩凝りそうです」

がこうも眠気が抜け切らないのは、僕と神田の傷を一手に引き受けたからだ。
だから邪険に扱うのも可哀相かと、精一杯の譲歩で言うと、は薄っすらと目を開ける。
そして、思いっきり嫌そうに目を眇めて、言い放った。

「男の膝枕なんか、硬くて寝心地悪いだろ。アレンはモヤシだし」
「誰がモヤシですかちょっと。っていうか何様なんですかあんたは」

ひとを枕代わりに使っておいて、なんて言い草だろう。
理不尽な物言いに、本気で頭が痛くなってくる。

「良いの、わたしの安眠の為なんだから。
 アレンにくっついてると暖かいから、よく眠れるし」
「………」

動物的な考え方だ、それ。
そういうのはペットか何かで代用して欲しい。

「着いたら起こしてね」
「………わかりましたよ」

根負けして頷くと、は満足そうに笑った。
…このひと、本当に人を怒らせる天才だと思う。

「おやすみ、アレン」
「おやすみなさい、

妙に穏やかな口調につられてそう返すと、はそのまま寝入ってしまう。
…早い。よっぽど眠かったんだろうか。

「…変な人」

思わず呟いた声は、幸いにして、本人には届かなかった。



File14 その暴走を止める者




「だいぶ遅くなっちゃいましたね~」

大きく欠伸をしながら、アレンは地下水道を渡る小舟を降りた。
つられるようにして、わたしも小さく欠伸する。
本当に、随分予定より遅くなってしまった。それというのも…

「この嵐で汽車が遅れましたから…」

そう、トマの言う通りだ。
突然の嵐に見舞われたわたし達は、汽車の遅れに巻き込まれた。
もう一日ずらそうか、と考えたものの、些細なこととは言え《物語》を変えるわけにはいかない。
結果、こんな時間の帰宅となったわけだ。

「ねむい…。もう真夜中だなあ…。
 回収したイノセンスはどうしたらいいのかな」

相当疲れたのか、アレンの口調は普段の敬語が崩れている。
眠たそうに目を擦る仕草がなんだか可愛いなぁ、とかわたしは思っていた。
…中身が魔王みたいだってことくらい知ってる。

「科学班の方なら誰か起きてらっしゃると思いますよ」
「じゃあ行ってみます」

一生懸命小舟を寄せているトマに、アレンは穏やかな笑顔で頷く。
これは多分、反射的な行動なんだろう。女の子のみならず男に対してもコレか。

。もうさすがに眠くないんじゃないですか?」
「いやー? 眠いデス」

答えた瞬間、ものすごく微妙な表情をされた。
例えていうなら、そうだな…変なものでも見るような。
え? 待って、わたし馬鹿にされてるの??

「…一日中寝てた計算になりますよ、
「うん。でも眠いんだ」
「代わりに何か食べたらどうですか。
 の場合、空腹を埋めようとして睡眠が長くなるんでしょう?」
「そだねー…」
「…やる気無いですね」
「ねー」
「………もういいです」

思いっきりわざとらしく、ため息を吐かれた。
仕方ないじゃないか、眠いものは眠いんだよ。

「…うん、でも、起きてないとヤバイかな」
「そりゃ、寝ながら歩けませんからね」
「いや。そうじゃないんだよ、アレン」
「は?」

胡乱げに、アレンが聞き返してくる。
わたしは曖昧に苦笑する。どうか束の間の平和を噛み締めていてください。

そしてわたし達が、教団へと続く階段に差し掛かった頃。

ドサッ

と、音を立てて何かが落ちてきた。

「あ」
「え?」

落ちてきたものに、アレンは目を瞬かせる。
わたしは、しゃがみこんで落ちてきたもの――リナリーを抱き起こした。

「やっだ、この子頭から落っこちてきたよ…大丈夫かな…」
「リ、リナリー!? どうしたんですか!!」

ようやく頭が正常に動きだしたのか、アレンも慌ててリナリーに駆け寄った。
リナリーはぴくりとも動かない。

「も、戻ったか…アレン…」
「リーバーさん!?」

ゆらり、とふらつきながら現れた人物に、アレンは目を瞠る。
その横で、リナリーを抱き起こしているわたしは、それはもう痛々しい思いでリーバーさんを見た。

「…ご苦労様です、リーバー班長」
「ははは…そんな目で見るな、。悲しくなってきた…」

だって仕方ないじゃないですか。
何が起こったかも、これから何が起こるかも知ってるんだもの。

「そのキズ…? 何があったんですか」
「に…逃げろ…コムリンが来る…」
「は?」

アレンが聞き返した、瞬間だった。
轟音を立てて、建物を破壊しながらソレは現れた。

…なんて表現すれば良いのかな、これ。
蜘蛛っぽいけどタコっぽいとも言うか。とりあえず奇怪な動く物体。名前はコムリン。
ちなみに、わたしは数ヶ月前にコムリンIと遭遇していた。その話はとりあえず今は割愛。
……ああ、アレンが凄い顔になってるよ。

「!?」
「来たぁ」

もう笑うしかない、って感じだ、リーバーさん…。
わたしは知っていたというのもあるし、一度見ていると言うこともあって割と冷静だった。
…いや、あのね。冷静なつもりだったんだよ。
でもね。神田の蕎麦を食って破壊された方…コムリンIはさ。…もっと小さかったんだよね…!

「えぇえ!? な、何アレ? 何アレ?!」
「なにあのサイズ有り得ないよ!? コムリンIはもっと小柄でしたよね!?」
「ンなこたぁ室長に訊いてくれッ!! くっそ…なんて足の速い奴だ…」

確かに、動きは速い。
…しかしあの帽子が妙に腹立つなぁ…おちょくられているような気がするというか。

『発…見!』

機械音のような声が、そう告げた。
…なんでコーヒーでショートするくせに、地下水道の水では平気なのか知りたいよ。

『リナリー=リー。アレン=ウォーカー。。エクソシスト3名、発見』

やっぱりわたしもかぁぁぁぁッ!?
ロックオンされてしまったわたしは、呆然としているアレンの服の裾を引っ張った。
地下水道の水で、わたし達は濡れねずみ状態だ。リナリーが風邪を引いてしまう。

「逃げろ、ふたりとも! こいつはエクソシストを狙ってる!!」
「アレン、Stand up please! 捕まったら最後だよっ」
『手術ダーーーー!!』

わたしの声と、コムリンの声が重なった。
…うん、手術って言うか改造だよ、コムリンがしたいのは。

――イノセンス、発動! 舞え、《黒曜》!」

発動を確認して、わたしは石畳を蹴る。
蹴った勢いで、わたしの身体は高く浮き上がった。

「ちょ、っ、狡いッ!」
「仕方ないじゃん、わたし足遅いもん。
 ほらほら、しっかりリナリーを背負って! 落としたら承知しないわよ!」
「うわわわっ! 追ってくる! 追ってくる!!」

でかい図体の割に、確かにコムリンの速度は速かった。
わたしは走る3人の横に、併走する形で低空飛行する。

「リーバーさん! ワケがわかりません!!」
「ウム、あれはだな! コムイ室長が作った万能ロボ「コムリン」つって…」

リーバーさんの言葉の途中で、大きな破壊音が響く。
…おいおい、コムリン…歩くだけで周囲が壊れていくよ…。

「見ての通り暴走してる!」
「何で!?」
「そう、あれはほんの30分前。
 俺達が相変わらず給料にならない残業をしていた時だった…」

そしてリーバーさんは、その惨状をとつとつと語った。
要約すると、
コムイさんが自慢げにコムリンを連れてきて、
仕事が楽になると喜ぶ面々の中、
コーヒーを飲んでコムリンがショート、そして大暴走。と。
………どこまで馬鹿なんですかあのひとはッ!!

「……と、いうワケだ。悪いな、こんな理由で…」
「「「(アホくさ…っ!!)」」」

この瞬間、確かにわたし達の心はひとつだっただろう。
…もう、あれだね。コムイさんは野放しにしちゃいけないと思う。

ようやくコムリンを撒いたわたし達は、教団の中央部に到着した。
地下まで降りる、あのエレベーターがある辺りだ。今は見当たらないけど。

「リナリーは大丈夫なんですか?」
「コムリンの麻酔針食らって眠ってるだけだ」

やっぱりコムイさん特性の麻酔なんだろうか。この騒ぎでまったく目覚める気配がない。
わたしは、ぺちぺちと軽くリナリーの頬を叩いて呼びかけた。

「リーナリー、起きてー?」
「ちょっと、。リナリーの顔が腫れたらどうするんですか」
「そんなに強くやってませんッ」

アレンや神田相手ならいざ知らず、リナリー相手にそんな暴挙に出るわけがない。
リナリーの可愛い顔を、腫れるまで強く叩くなんて! そんなことした奴はわたしが許しませんよ。

「はあぁ~…ラクになりたいなんて思ったバチかなあ…」
「え?」

壁に頭を預けて、リーバーさんが呟いた言葉に、アレンはきょとんと目を瞬かせた。
そんなアレンの反応に、リーバーさんは苦笑を返す。

「お前達エクソシストや探索部隊は命懸けで戦場にいるってのにさ、悪いな。…おかえり」
「あー。リーバー班長、わたしは? わたしは??」
「はいはい、もおかえり」
「うわぁ、おざなりだー! 可愛く「ただいま」って言わせて下さいよぉ」
「おまえそういうキャラじゃないだろー」

そう言って笑われた。酷い、ここでもこんな扱いか!
でも、こういう時に真っ先にツッコミを入れるアレンが、何故か大人しい。
気になって、わたしは視線をアレンに移した。

「アレン?」
「え…あっ、はい!」
「何だよ、もしかして任務の傷が痛むのか? 報告は受けてるぞ」
「いえっ、平気です…た、ただいま」
「?」

歯切れの悪いアレンの様子に、リーバーさんが首を傾げる。
ただ、わたしから見れば…そうだな、慣れないことに照れてるっていうか、そういう風に見えた。

「…照れてんの?」
「は!?」

軽く首を傾げながら訊くと、一瞬目を瞠ってから、アレンはバッと顔を赤く染めた。
…ええと。なんだろう、この可愛い反応。小動物を見ている気分。

「やー、可愛いなー、アレンちゃん」
「ちょ…ッ」

ぐりぐりと頭を撫でてやると、アレンは必死に何か言おうとして口を空回りさせている。
耳まで赤くなってるのは、もうどう見ても照れてる証拠だよね。可愛いところあるじゃない?

「……性格悪いです、
「なにー!? あんたに言われたくないよ、この腹黒魔王属性少年めッ!
 ちょっと可愛いなんて思ったわたしが馬鹿だったわッ」
「今更気付いたんですか。は初めから救いようのない馬鹿ですよ」
「なんだとコラ! 誰が馬鹿だぁっ!!」

だからどうしてこうなるんだ…!
不本意ながら怒鳴り合うわたし達を見て、何を思ったのかリーバーさんは変なことを言う。

「なんだ、おまえら結構仲良くなったじゃないか」
「「なってません!」」

こういう時だけ、息ぴったりなわたし達だった。
でもね。でもですよ? なにも、この世の終わりみたいな声を出さなくたって、良いと思うのよね!

「僕とが? 冗談やめてくださいよ! ああ、鳥肌が…ッ」
「ちょっと、そこまで言わなくても良くないー!?」
「すみません、今はちょっと近寄らないでください。具合悪くなりそうです」
「おいおいなんてこと言っちゃってんのさこのモヤシっ子ーーーっ!」
「誰がモヤシですか、誰が!! 僕、ちゃんと身体鍛えてますよ?
 そりゃあまだ背は低めですけど、モヤシなんて言われる程じゃないですよ!?」
「色彩って大事だよ、色白の英国人さん」
「ちょっとそれは聞き捨てなりませんねッ!? じゃあはなんですか、カラスですか!?」
「カラス!? それなんか不吉じゃない!? 今すぐ日本に向かって謝って来いッ!!」
こそイギリスに土下座してくださいッ!!」

更にヒートアップした。
もう勘弁してくれ…なんで寄ると触ると喧嘩しちゃうんだろう…。
いや、でも、わたし悪くないよ。わたしにだけ紳士的な態度を取らないアレンが悪いんだよ。多分。

「…お取り込み中悪いんだがな、そういうのは後にした方が良いと思うんだ」
「「あ」」

言われて、わたしとアレンは顔を見合わせた。
…そうでした。コムリンが迫ってきてるんだ。

「おおーい、無事かー!」

その時、微かな機械音が聞こえて、わたしはそっちに視線を向けた。
逆四角錐のようなエレベーターに乗って、科学班の面々が現れる。

「室長! みんな!」
「班長ぉ、早くこっちへ! つかまって!」

慌てたように言いながら、ジョニーさんがクマのぬいぐるみを差し出して来た。
…命綱にもなりゃしませんが。どうしろと、そのクマさん。

「あ。アレン達も帰ってたの? こっち来い、はやく…」
「リナリィーーまだスリムかいーーー!?」

大惨事だった。
科学班の面々は何かの爆発に巻き込まれたような姿になっているし。
そもそも、極度の恐慌状態に陥っているのか、誰一人として落ち着いていない。

「落ち着け、お前ら…」

ああ、リーバーさん。今はあなただけが正常です…!
特に、元凶たるコムイさんの様子を見ろ。まったく役に立ちそうにない。
…いや、この後また色々やらかすのは知ってるんだけどね…。

「…リーバーさん!」
「なんだ、!」
「危ないです!!」
「「「は?」」」

わたしが言った瞬間、リーバーさんを始め、アレンもトマも目を瞬かせた。
そしてその直後。轟音と共に追いついてきたコムリンが現れる。

「来たぁ!」

あ、アレン達が衝撃で吹っ飛んだ。
ちなみに、わたしは空中で受け身を取ったから吹っ飛んではいない。
…今ちょっとだけ飛べることに感謝した。ありがとう、わたしのイノセンス。

「インテリをナメんなよぉ!!」
「「「「「壊れーーー!!」」」」

ジョニーさんが叫んで、何かの操作スイッチを触る。すると、機械音と共に大砲が生えてきた。
…で、その大砲なんの為に付けてたんですか。
エレベーターだと思ってたんだけど、あれ、エレベーターじゃないのかな…。

「ボクのコムリンを撃つなぁ!!」

あ。コムイさんがまた余計なことしてる。
大砲の操作スイッチを握っていたジョニーさんに、コムイさんが泣きながらへばりついたのが見えた。
同時に、カチッ、と鳴り響く操作音。

「…発動、」
「え。?」
「《天蓋黒盾》」

わたしが両手を前に突き出すと、腕を伝い、黒曜石の羽根が盾の形を成す。
盾がわたし達の前に現出するのと、コントロールを失った大砲が大暴れするのは、ほぼ同時だった。

大砲は教団内をくまなく破壊し始める。ついでにコムリンが通るだけで建物は壊れていく。
…ああ。わたしの部屋、無事かなぁ…。

「何してんだお前ら!! 殺す気か!?」
「は、反逆者がいて…」

わかってますとも。
ジョニーさんの後ろの方で、コムリンがどうこうと騒いでいるコムイさんでしょう。

「…アレン」
「はい」
「ものは相談です」
「なんですか」

リナリーを背負ったままのアレンが、神妙な表情でわたしを見る。
わたしも同じように真面目な表情で、小さく頷いた。

「ほら、わたし飛べるしさ! わたしがリナリーを抱えて…」
「…僕を囮にしようとか考えてませんか?」

わたしとアレンの言葉は、ほぼ同時に発せられた。

「「…………」」

流れる一瞬の沈黙。
わたしは、軽く小首を傾げて微笑んでやる。

「大丈夫。アレンは頑丈っぽいから!」
「否定しましょうよ!? っていうか、なんですかその根拠の無い自信!?」
「なんだよ、しっかりしろよ! ここはアレンが格好良くさ、
 『僕がコムリンを引き付けている間に逃げてください!』とか言う場面でしょ!?」
「何勝手なこと言ってんですかッ!!
 それは僕の物真似ですか? そうなんですか? すみません、ちょっと一回殴らせてください」
「やだもうこの暴力夫」
「誰が誰の夫ですかホントにワケがわからないんですけど!?」

いきり立つアレンを手で制して、わたしは彼からリナリーを受け取る。
スリムな彼女だ、女のわたしが抱えてもそんなに重さを感じない。

「…大丈夫だって! リナリーを避難させたら、ちゃんとアレンも助けてあげるからさ!」
「なんですかね。いまいち信用出来ないんですけどね」
「おいこら少年。もう少し人を信じろ」
じゃなかったら信じましたよ」
「過去形?! 既に過去形なの!?」

思いっきり疑わしそうに目を眇められ、わたしは顔を引きつらせる。
どうしてこうも可愛くないのか、この子は。詐欺だ、詐欺ですよ。顔は可愛いのに。

「あのね、こうしてる間にもコムリンはわたし達を狙って…」
「…コムリン。アレンくんの対アクマ武器が損傷してるんだって。治してあげなさい」
「「え?」」

思わず顔を見合わせてから、わたし達は上を見上げた。
そこには、大砲の先端で、ロープでぐるぐる巻きにされたコムイさんとコムリンのツーショット。

うわ、言った。言っちゃった。
わたしは、そーっとアレンから距離を取った。
…ごめん、アレン。わたしまで連れて行かれたら大惨事さ。
…………ごめん、ただ怖いだけです。

『損、傷…』

ぎぎぎ…と、緩慢な動きでコムリンがアレンの方を向いた。

『優先順位設定!
 アレン=ウォーカー、重傷ニヨリ最優先ニ処置スベシ!!』

そんな言葉と同時に、コムリンの中から変な手袋を付けた手が伸びてきた。
そして、アレンの足首をがしっと掴み、ずるずると引きずっていく。
…怖い。あれは怖い。夢に出そう。

「わっ?!」
「アレン!」
「あー…囮にする前に捕まったか…」
「他に言うことないんですかーーーーっ?!」

ずるずるずるーーーっ!

…なんて、漫画の擬音みたいな音を、生で聴くことになるとは。
連れ攫われていくアレンを眺めながら、わたしは小さく息を吐く。


――さて、どうしようか?






騒動は起こるものではなく、起こされるものです。



To be continued?

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