――朦朧とした意識の中では、良く聞こえなかった。
だけど、朧気に聞こえたその声音は、女性のもの。

――ええ、そうよ』

冷たい言葉とは裏腹に、その声はどこか憂いを孕んでいたのを、覚えてる。

『だって、わたしはここでアレンに会うわけには、いかないんだもの』

どうして自分の名前を知っているんだろうか、と。
そんな疑問を抱いたのは、治療を受けて目が覚めた後だった。

ジャンに聞いても、どうにも容量を得ない答えしか返ってこなかった。
僕を知っている、と言うことは、師匠の知り合いかもしれない。
…あれ? でもあのひと、教団には年単位で連絡取ってないんじゃなかったっけ?
ああ、でも、紹介状書いたって言ってたっけ。
僕の容姿は特徴的だし、一目で見抜いたとしても何もおかしなところはない。

それに、今はそんなことを気にしてる場合じゃなかった。

「………ティムキャンピー。ここで間違いないんだよね?」

思わず、傍らのティムキャンピーを見上げた。
なんとなく、ティムは頷いたように見える。
…目の前にあるのは、とんでもなく険しい崖だった…。



File08 アレン=ウォーカー




「…暇です、リナリーさん」
「ダメ。この間、街で私を置き去りにした罰よ」

先日置き去りにしたのが、相当ご立腹だったらしい。
あの日以来、「暇」と言ったが最後、「じゃあ勉強しましょうか」になってしまった。
…え。これ、わたしのせい? わたしのせいなの??

「はい、次はこの文章の書き取りね」
「いーやー…英語いやー…」
「…どうしてそれだけ喋れるのに、書けないの…?」

それはきっと、異世界トリップのお約束ですよ。
翻訳こんにゃくとか、イメージ伝達サークレットとか、そういうのだよ。

「日本の文章はそれはもう美しいんだぞっ」
「神田に言って、それ。多分喜ぶわよ、表情はあんまり変わらないかもしれないけど。
 ほら、。手が止まってる。ちゃんとやらないと覚えられないわよ」
「聖書の写しなんていーやーだー…」

分厚い聖書を横目に、わたしは机に突っ伏した。
この聖書、文字が細かくて見てると疲れる。ただでさえ、英語の成績はずっと悪かったのに。

「じゃあ戯曲にする?」
「絵本が良い」
「何言ってるの。絵本に文章なんてないわ」

マジですか。
わたしの絵本に対する知識が間違ってますか。

「…うぅ…」
「書けない、読めないじゃ困るって言ったのはでしょう?」
「そうだけどー…そうなんだけどー…」

勉強が好きだったら、非現実に夢を抱いたりしないよ!
…と、言ったところで通じないだろうし、通じても痛い子でしかない。

「もう、仕方ないひとね…。
 わかったわ、勉強は休憩して、少しお話しましょう」
「やったー。リナリー愛してるー」
「はいはい、ありがとう。私も愛してるわ」

苦笑混じりに言われて、何故か頭を撫でられた。
…あれ? わたし、子供扱いされてる…?!

「あの、リナリ」
「ねぇ、

わたしとリナリーの言葉は、ほぼ同時だった。
わたしは口を噤んで、どうぞと先を促す。

「…街に行った日から、少し変よ?」
「……」

思わず、わたしはきょとんと目を瞬かせた。
変。…変? 何か変な行動取ったっけ!?

「…知り合いにでも、会ったの?」
「え?」
「だって、何かを見つけて走って行ったでしょ?」
「あー…リナリーって、よく見てるね」

まさか、アレンの姿は見られていないだろうけど…。
もしかしなくても、わたし、余計なことばっかしてるんだろうか。

考え込むわたしに何を思ったのか、リナリーの表情が曇った。
例えて言うならそれは、不安そうな――

「ねぇ、…もしかして、は誰かを捜しているんじゃ…」

リナリーが言いかけた瞬間だった。

「おーい、リナリー! ちょっと来てくれ!」

通路の向こうで、リナリーを呼ぶ声がした。
わたしとリナリーは、全く同時に、弾かれたように顔を上げる。
向けた視線の先には、いつものように大量の紙束を抱えたリーバーさんの姿がある。
…あのひと、いっつも伝達係だな。なんでだろ。

「また兄さんが何かしたのかしら…ごめんなさい、。ちょっと行ってくるわ」
「はーい。いってらっしゃーい」

ひらひらと手を振るわたしは、内心どこかで安堵していた。
怪しい素振りは見せられない。どこから綻ぶかわからない。
――《物語》の《改変》は、許されない。

「悪いな、。ちょっとリナリーを借りてくぞ」
「お気遣いなくー。お仕事頑張ってくださーい」

足早に去っていくふたりを見送ってから、わたしはまたソファーに横になった。
ああ、また暇になってしまった。

「…あー…暇…」

早く、アレン来ないかなぁ…。
そんなことを考えながら、わたしはうとうとしていた。
最近は、昼まで寝てたりしない。アレンが来たとき寝てたら目も当てられないし。
その分、すごーく…眠い。

「…お昼寝、しようか、な…」

そういや、神田帰ってこないなぁ。
あいつが帰ってこないと、話始まらないじゃん…。

そんなことを思いながら、わたしは微睡みに思考を浸していた。
時間の感覚がなくなっていく錯覚。
だけど覚醒は、それこそ唐突にやってくる。


『こいつアウトォォオオ!!!』


地響きのようなそれに、ぱちっと目が覚めた。
アレスちゃんの声だ。わたしは慌てて身を起こす。


『スパイ侵入! スパイ侵入!』


――来た!
繰り返される言葉に、わたしはそのまま勢い良く談話室を飛び出した。



…ちなみにこの時、実は何も考えていなかった。
駆けつけてどうするとか、本当に何も考えていなくて、ただ――




――ただ、本能が告げるままに、走っていた。


+++


駆けつけたとき、そこには既に神田が居た。
純粋な殺気に、肌がピリピリと刺激される。
その時のわたしの行動は、自分でも何を考えているかわからなかった。

「ちょーーーっと待ったーーーーぁッ!!」

怒鳴って、わたしは地を蹴る。
…あ。イノセンスの発動、忘れてた。

「って、きゃーーっ!?」
「え」
「ッ!?」

神田とアレンが、同時にわたしを見た。
で、その頃わたしは急降下というより落下しているわけで――

「イ、イ、イノ、イノセンスっ、発動ーーーーッ!?」

人間、慌てると裏返った声が出るんだな、本当に。
一応発動は間に合ったけれど…浮遊とは似ても似つかぬ滑空状態で、わたしは門の前に落ちた。
…降りたって言うか、やっぱ落ちた、だよね…これ…。

「…!?」
「い…いたた…お尻打った…」

さっき下で悲鳴が聞こえたような気がしたけど、気のせいだろうか。
目の前には神田がいて、可哀想なものでも見るような視線を向けてくる。

「…なんで正規の出入口から出てこないんだ、おまえは…」
「あ、慌て過ぎて階数間違えて…で、でもほら鍛えてるから無傷!」
「阿呆か」
「なにぃっ!?」

心底呆れたように言われて、わたしは勢い良く立ち上がった。
…瞬間、足下で悲鳴が上がる。あと、足場が何か柔らかい。

「……あの……とりあえず退いてください……」
「「あ」」

恨めしげに見上げられ、わたしは一瞬、きょとんと目を瞬かせた。
…瞬間、大変なことに気付いて慌てて飛び降りる。
その間に、わたしが足場にしていたアレンは、よろりと立ち上がった。

「…見た!? 中見たよね今!?」

スカートの裾を押さえるわたしを、アレンは一瞬、呆けたような表情で見ていた。

「…は?」
「は?じゃなくて! パンツ見たでしょう!?」

わたしが言った瞬間、確実に空気が凍った。
…科学班愛用偵察ゴーレムすらも。

「…見てませんッ!」
「嘘だ! あの角度は絶対見えた!!」
「なんですか勝手に見せといてッ! …あ」
「やっぱ見たんじゃないのよーーーっ!」

叫ぶわたしの襟首が、急に後ろに引っ張られる。
当然、そんなことをしやがるのは今はひとりしかいない。

「…下穿きを見られたくらいでなんだ、ンなこと気にしてる場合か」
「だから見てませんってば!」
「そんなことたぁ何よ!? 若い女の子にとっちゃ下着は最終兵器よ! リーサル・ウェポンよ!?」
「…ちょっと、ひとの話聞いてください」
「何が最終兵器だ、意味わかんねぇよ。見られんのが嫌ならそんな格好するな」
「男に服装のダメ出しさせる謂れはないねッ!」
「もうおまえ黙ってろ! アクマを目の前にして、よくそんな下らないことが言えるな…!」

そう言うと、神田は再び六幻をアレンに突きつけた。
うわ、神田ってば目がマジだ。怖い。

「待って! ホントに待ってください! 誤解です、僕はアクマじゃありません!
 クロス師匠から紹介状が送られてるはずです!」

アレンが悲鳴に近い声で言った瞬間だった。
彼の数ミリ手前で、六幻の刃が止まる。…その距離感は怖いと思うよ、半端なくね。

「元帥から…? 紹介状…?」
「そう、紹介状…コムイって人宛てに」

アレンの言葉とほぼ同時に、偵察ゴーレムの向こう側から、机を調べろだの少しは整理しろだのと言い合う声が届く。
…あの紙束の山から探してる割には、結構早く見つかったよなぁ…。
と、ぼんやり考えていると、重々しい音を立てながら門が開かれた。

『かっ、開門んん~~~?』

疑問符を浮かべながら言ったであろうそれに、わたしは苦笑する。
アレスちゃんもねー。大変だよねぇ…。

『入場を許可します、アレン=ウォーカーくん』

ゴーレム越しに、コムイさんのそんな声が聞こえた。
…かと言って、ここで剣を引く性格でもないんだよね、神田は。

「…」
「わっ」
『待って待って、神田くん』

偵察ゴーレムから聞こえた声に、神田は六幻を動かさないまま、応えた。
アレンを睨み付けたままで。

「コムイか…どういうことだ」
『ごめんねー、早トチリ! その子、クロス元帥の弟子だった。ほら謝って、リーバー班長』
『オレのせいみたいな言い方ーーー!!』

…ああ、可哀想なリーバーさん。
わたしも実際目の当たりにして改めて思ったけど、コムイさんの机は本当に汚い。
よくあれだけの紙が積み重なってて、崩れないもんだ。

『ティムキャンピーが付いてるのが何よりの証拠だよ。彼はボクらの仲間だ』

ここまでは、《物語》通りだった。
…次の台詞さえなければ。

ちゃんも謝って!』
「え。なんで!?」
『思いっきり踏んだでしょ?』

見られてた!!
…思わず、わたしはアレンの方へ視線を向けた。
………彼がボロボロなのは、半分、わたしが足蹴にしたせいでしょうか。

「…でもだってわたしパンツ見られたし!?」
「見てないって言ってるでしょうがッ?! しつこいですよ!!」
「うっさい、ちょっと黙ってて!」
「僕が黙ってどうするんですか!」
「え、なに、わたしがコムイさんにあることないこと吹き込むとか思ってんの?!
 酷い濡れ衣だわッ! あんたわたしを何だと思ってんのよ!!」
「どっちが酷いんだ!? あんたこそ人をなんだと思ってんですかッ!!」

怒鳴り合って、わたし達は至近距離で睨み合った。
……あれ? あれれ? こ、こんなはずじゃなかったのに…??

困ってふと視線を逸らすと、同じくらい至近距離に、何故か六幻の刃があった。
………ちょっと待って。なんですかこれ。

「…ちょっと神田! あんたも六幻下ろしてよ!
 この子、アクマじゃないんだからもういいでしょ? そこで構えられたらわたしまで切れるじゃないッ」
「ンなヘマしねぇよ。…切った方が世の中の為かもしれねぇけどな」
「なんだとコラーッ!」

馬鹿にしたように笑われて、わたしの矛先は神田に向いた。
六幻の刃を、私は羽根で作った盾で退ける。
そして、神田に向かって口を開き掛けて――

「いーかげんにしなさいッ!」

そんな叱咤の声と共に、わたしと神田の頭にそれぞれ一回ずつ、クリップボードがヒットした。
思わず、わたしと神田は顔を見合わせ、ゆっくりと攻撃方向に視線を向ける。
…そこには、クリップボードを片手に持ったリナリーが立っていた。

「もー…神田もも! やめなさいって言ってるでしょ!
 早く入らないと門閉めちゃうわよ」

そこで言葉を切ると、リナリーはピッと人差し指で門を指さした。

「入んなさい!」

普段温厚なひとが怒ると、それはもう怖いんです。
…わたし達3人が、必死に頷いたのは言うまでもない。


+++


「私は室長助手のリナリー。室長のところまで案内するわね」
「よろしく」

…そこだけ別世界のようです、お二方。
和やかに展開されるアレンとリナリーの挨拶を前に、わたしは曖昧な笑みを浮かべるしかなかった。
………わたしはいったい、なにをしてるんでしょうか。

「……」

不機嫌さを隠しもせず、門をくぐった瞬間、神田はアレン達とは逆方向に進行方向を変えた。
…いつも思うんだけどね、こういうとこ子供っぽいよねこの人さ。

「あ、カンダ」

そんな神田を呼び止めたのは、あろうことかアレンで。
当然、神田は物凄い目つきの悪さでアレンを見た。むしろ睨んだ。

「…って、名前でしたよね…?」

ああ、ほら、アレンが引いてますよ神田さん。
成り行きを見守るわたしとリナリーの視線の中、アレンはめげずに、神田に右手を差し出した。

「よろしく」
「…呪われてる奴と握手なんかするかよ」

切って捨てました。
さすがに、アレンの表情が引きつる。
当然の反応であり、わたしにとっては《物語》のワンシーンだった。

「…おーい、神田ー。
 本人にはどうしようもないところにいちゃもん付けんなよー可哀相だろー?」

一応言ってみると、神田の視線がわたしに移った。
そして、何故か溜め息を吐かれる。なんでだ。

「…
「あ?」
「おまえ、さっきの無様な着地はなんだ。修練サボってただろ」
「え、なに、ダメ出し!?」
「来い。鍛え直す」

そう言うと、神田は有無を言わせずわたしの腕を掴んだ。
そしてそのまま、わたしは文字通りずるずると引きずられて行く。
…もちろん、向かう方向は修練場だった。

「いや良いよ! 遠慮するよ! ほら、だって神田ってば怪我人じゃん!」
「治った」
「治ってねぇだろ!」
「じゃあ治せ」
「それ人に物頼む態度違うーっ!」

暴れるわたしをものともせず、神田は足早にわたしを引きずっていく。
ああ、ちょっと待ってよ。アレンもリナリーも呆然と見送ってないで助けて欲しい!

「待って待って、わたしまだアレンに自己紹介もしてないよっ」
「安心しろ、既におまえがどうしようもない馬鹿だってことくらい理解したはずだ」
「いやそれ理解じゃなくて誤解って言うんだよ、神田さん!
 いーやーっ! 離してー! 助けてー、リナリーーーーっ!」

必死にリナリーに呼びかけるけど、リナリーは困ったように手を振り返してきた。
え、なにそれ!? 見捨てられた? 見捨てられたのかわたし?!

「ごめんね、…これから仕事なの、私」
「そーですよねー!?」

そうでした。リナリーにはコムイさんの助手としてのお仕事が。
…これも《物語》の改変を防ぐため。防ぐため。…我慢だ、わたし。ファイトよ、わたし。

「…重てぇ。自分で歩け」
「おま、言うに事欠いて重たいとは何事!?」

前言撤回。
やっぱり我慢出来ない。
特にこの扱いには!!


+++


悲鳴を上げながら引きずられていく少女と、引きずっていく神田とを、僕はとりあえず見送った。
…なんなんだろう、あれは。今まで見たこともない未知の生き物にしか見えない。

「………」
「ごめんね、アレンくん。あのふたりも悪気はないから…多分」

リナリーが、苦笑を浮かべながらそう言った。
フォローにもなっていない辺り、あの少女の普段がアレだということが伺える。

「えっと…彼女もエクソシストなんですか?」
「ええ。は少し、特殊なんだけどね」

確かに特殊だ。…主に人間性が。
いきなり上から降ってきて。思いっきり踏み潰されて。
…挙げ句、謝罪どころか痴漢扱いだ。どういう感性してるんだろう。

「彼女は。19歳だから、私よりお姉さんになるわ。
 いつも賑やかな子だし、同じ年頃のエクソシスト仲間になるから…多分、会うことも多くなると思う」
「はぁ…そうですか…」

19歳。…見えない。
いや、外見の印象はあまり残っていないけれど、中身は間違いなく子供だ。
仲良くすべき同僚なんだろうけど…神田同様、どうにも苦手なタイプかも知れない。
特に彼女――は、何を考えているかまったくわからない。謎の生物だ。未知の領域だ。

「結構、話し上手で人付き合いに明るい人よ。後で改めて紹介するわね」
「…そうですね…」

どうしても歯切れが悪くなってしまうのは、なんとなくあのという少女が似ているからだ。
………師匠に。
あのわけのわからなさっぷりと、理不尽さが。

「じゃあ、教団内を案内しながら行くわね」

笑顔で言われて、僕は頷いた。
とりあえず、今は余計なことは考えないようにしよう。

――ここが黒の教団。エクソシストの本部。
これから、僕が属する世界になる――


+++


――黒の教団、修練場。

痣だらけの腕をさすりながら、わたしは鬼教官…もとい、神田を見上げた。

「…ねー、神田ー」
「気ィ抜けた声出すな」

…冷たい。
いや、いつものことだけど、なんか普段より素っ気ない。

「…で。なんで邪魔したのよ?」
「あ? そんなにあの新入りに興味があるのか」
「そりゃ、あるだろ。仲間だし」
「………」

言った瞬間、盛大に溜め息を吐かれた。
眉間には思いっきり皺が寄ってる。何故。

「……なんで不機嫌なの?」
「おまえ目ェ腐ってんじゃねぇのか」
「腐ってねぇよ! …眉間に皺寄せたままだとそういう顔になるよ」
「俺の勝手だ」
「ソウデスカ」

なんなんですか、まったく。
今日は散々だ。神田は不機嫌だしリナリーには見捨てられるしアレンとは喧嘩するし。

「ああ…ああもう! 絶対嫌われた! 絶対嫌われたよねわたし?! 態度悪かったよね!?」
「安心しろ、最初から悪い」
「なんですってーーーっ?!」

そこは一応、「気にするな」の一言くらい言っておくところだろ!と。
喚くわたしに、神田は頭を抱えるようにして溜め息を吐いた。今日何回目だ、ソレ。

「おまえな…立場わかってんのか?」
「へ?」
「即戦力の新人と、身体能力は並以下のおまえ。少しは頑張ろうとか思わねぇのかよ」
「うっ…」

呆れたように言われて、思わず言葉に詰まる。
…言いたいことはわかる。わかります。
アレンが入団することによって、わたしのお荷物度が急激アップするんだろ。
…………どうせへなちょこな身体能力しかありませんともッ!!

「…わーかったよ! 神田センセー、お願いしますッ」
――構えろ」

静かに言われて、わたしもスッと構えを取る。
はっきり言って、武器持って戦う為の型じゃないと思う。向いてないし。

「いいか。おまえは当てることを考えるな、避けることにだけ集中しろ」

言われて、わたしは頷く。
わたしの攻撃に向かないイノセンスじゃあ、当たったところでAKUMAを破壊なんて出来ない。
ならわたしは、少しでも足手まといにならないように、避ければいいのだ。あらゆる攻撃を。

「…神田」
「ん?」
「手加減してねッ」
「~~~ッ!!」





…言った瞬間、怒られました。






やっぱり今回も、第一印象は最悪。



To be continued?

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