――それは、まさしく青天の霹靂だった。
、19歳。
年齢イコール彼氏居ない暦の女子大生です。
好きなものは漫画とアニメ。あとゲーム。
世の中の女子が大抵そうであるように、当然面食いです。美形が好きです。
学校に男子が多いので、男友達も多いです。
でも、しかし。
美形男子にはとんと免疫がございません…!!
そんなわたしが。
何故。どうして。
美形のおにーさんの上に馬乗りになってるんでしょうか…!!
「……え、ええと……?」
「………………………………誰?」
困ったように苦笑するおにーさんの言葉に、わたしの頭は真っ白になった。
「…ぅ、」
「うん…?」
「ご、…ごめんなさいっ!!??」
「ぅぶっ!?」
思わず手近なクッションを彼の顔に叩きつけてしまったのは、ええ、混乱の末の奇行です。
……正直、酷い奴だな自分、と冷静になった後で思ったのは内緒だ。
.
.
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「…そんな痛々しい出会いから早1年…」
「うぅ…ことあるごとにその話蒸し返すのやめようよ10代目ぇ…」
「ハイ、『10代目』って呼ばない」
笑いながら軽く頭を小突かれて、思わず言葉を飲み込む。
思わず顔が赤くなるのは、ええ、不可抗力ですとも!
「…………………」
は、反則だ…なんであの小動物系プリティ☆ボーイが、こんなんになるの…!!
…未だに、私は目の前の彼があの、『沢田綱吉』だと若干信じられずにいる。
「…なんでどうしてあのダメな子がこんなになるの。
コレは詐欺ですかあんたデーチモじゃなくてプリーモじゃないですか」
「なんでオレの子供時代を知ってんのとか、なんで初代を知ってんのとか突っ込まないでおいてあげるけど、
とりあえずオレが沢田綱吉であることは曲げようの無い事実だよ?」
「…だからなんでこんなになるのデスカ」
「あんな濃い面子に囲まれて10年も経てば自然とこうなるよ」
無駄に爽やかに笑われました。
いや、確かにあなたの周辺濃い面子しかいませんが。
「…わたしはあのチワワにすらビビるくせに時々大胆なツナさんが好きですぅぅぅぅぅ…」
「まるで見てきたように言うなぁ…。ところでソレ、愛の告白?」
「ぶっ!? な、なんでそうなりマスカ!?」
何この人! 何その不自然なほど自然な表情!
こっちが吃驚だよ!!
「だって『好き』って」
「そんなん好物はカレーですとか言ってる感覚ですから!
弟妹がお兄ちゃん好きだよーとか言ってるようなもんですから!」
「ああ、好物カレーなんだ? お兄さんいるの?」
「ちげーーーっ!?」
ダメだ、この人まともに話聞いてない!!
し、信じられない…これが、あの、沢田綱吉だってのか…!?
「え、ナニコレ、報復? 同人誌読んで喜んでたわたしに天罰??」
「誰に向かって何を言ってるの、」
「うっさいちょっと黙れ!」
なんで。なんでだ。
なんでこうなった。わたしの妄想の中にしかいなかったのか、可愛いツナは!?
「…ねぇ、」
「はい!?」
「1年って短いと思う?」
唐突に何を言い出すんだ、この人。
思考が明後日の方向に飛んでいたわたしは、真意のよくわからないその話に思考を強引に向けた。
「えー…比較的短い方じゃないデスカ…」
「そう? その頃出会って結婚した夫婦に子供が出来てるくらいの時間だよ?」
「なんて喩えだよ。何が言いたいの?」
未婚の女に結婚だ子供だの喩えはタブーだろ。
何が言いたいんだ、このおにーさんは。
「この1年でオレが君に恋をした、って言ったら君はどうする?」
「は、」
物凄い良い笑顔で言われた言葉に、頭が真っ白になった。
意味を把握するのに、数秒。
悲鳴に近い怒鳴り声が自分の口を衝いて出たのは、更に数秒後だ。
「ちょっとおにーさん何言っちゃってんの!?
京子ちゃんはどうした!?」
「なんで京子ちゃんを知ってんの君が。京子ちゃんなら平和な日本で結婚してるよ」
「なんですと!?」
まさしく青天の霹靂!
まさかあの京子ちゃんがどっかの誰かと結婚済みとはなんて世界だ!!
「で、返事は?」
「い、いや、あの、わ、わたし達には多大な歳の差がですね…」
「5歳程度、些細な差だろ?」
「そ、そうですかー…些細ですかそうですねー…!」
ああ、もう、どこに突っ込めばいいですか誰か助けて。
「…まぁ、マフィアのボスにこんなこと言われても、困るか…」
「あ、いや、マフィアとかは割とどうでも良いけど!」
「…じゃ、オレ個人がダメ?」
「ダメじゃないけど!」
「じゃあ、好き?」
「好きだけど!! …って、あれ…?」
勢いで答えて、はたと我に返る。
目の前の元凶は、笑いを堪える様に肩をふるふると震わせていた。
…こ、この男は…っ!!
「…は、嵌めやがったな…」
「嵌る方が無防備なんだよ、?」
黙れ! 黙れ!!
いけしゃあしゃあと何を言う!
本当にこの人、あのダメツナですか?!
10年で性格歪んだにしても、変わり過ぎだろ!!
「…くッ…」
「そんな、心底悔しそうにしなくても」
「悔しいもんは悔しいんだ!」
「変なとこ負けず嫌いだよね、は…」
ほっとけ。
もう恥ずかしいやら悔しいやら、自分でもどう反応して良いのかわからない。
ああ、もう、勝てるわけがない!
さすがボス様ですよ、ええ! 口の上手さも一級品だよちくしょう!!
「…で、さっきのは返事と受け取って良いの?」
「それを敢えて聞くのかこのドS!!」
「うわぁ、酷い。別に苛めてるつもりはないのに」
嘘だ!
そんな困ったような笑顔に、今更騙されてやらないんだから!!
「ホラ、。機嫌直して、こっち向いて?」
「なにっ……」
笑いながら袖を引かれて、反射的に振り返る。
振り返った瞬間に、ものすごい至近距離に顔があったので、思わず硬直した。
本能的に後ずさろうとして、逆に腕を掴まれて引き寄せられる。
構える間もなく、掠めるように、唇に口付けが落とされる。
「…………………」
そのままの状態で固まったわたしに、
彼は悪戯に成功した子供のように得意げに、笑った。
「…今は、ここまでで許してあげる」
「~~~ッ!!!!」
こ、この天然タラシ…ッ!!
じゃあ仕事に行ってくるから、良い子にしててね、と。
笑いながら言った彼に、手近にあったクッションを叩きつけたのは言うまでもない。
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